就労移行支援事業所への通所を検討するにあたって気になる点の1つに「給料・工賃の有無」があります。就労移行支援を利用する人の中には経済的に困窮している人も少なくなく、切実な疑問といえるでしょう。そこで今回は、就労移行支援事業所における工賃について解説するとともに、サービス内容も深掘りして解説します。
就労移行支援事業所のサービス内容
就労移行支援サービスとは、障がいのある方が一般就労を目指すために、段階的かつ継続的な支援を行う福祉サービスです。就労移行支援事業所では、利用者一人ひとりの状況や特性に配慮しながら、就職に必要な力を無理なく身につけられるよう支援しています。通所の流れ
通所の前期は「基礎訓練期」とされ、一般就労に向けた土台づくりが中心となります。ここでは、通所習慣の確立や基礎体力の向上、集中力・持続力の習得を目指すとともに、自身の得意・不得意や課題を把握するための支援が行われます。安定して働くための基礎を整える大切な期間です。中期に入ると「実践的訓練期」となり、職場で求められるマナーや身だしなみ、挨拶といった基本的な社会的ルールの習得や、職業習慣の定着を目指した訓練が行われます。
また、希望する職種や働き方に応じて、専門的な知識やスキルを身につける職業訓練も実施され、履歴書や応募書類の作成指導、模擬面接など、就職活動を進めるための具体的なサポートも受けられます。
通所後期の「マッチング期」では、ハローワークなどの関係機関と連携しながら、利用者の適性に合った職場の紹介が行われる流れです。企業側に対する支援制度も活用し、双方にとって無理のない就労につなげていきます。
就職後のサポート体制もポイント
さらに、就職後も最大6か月間は定着支援として面談や相談が行われ、職場で安定して働き続けられるようフォローが続きます。就労移行支援の利用期間は原則2年間ですが、その間であれば離職した場合でも再度利用することが可能です。就労移行支援事業所では原則工賃は発生しない
就労移行支援における給料や工賃などの基本的な考え方については、他の障がい福祉サービスと異なる点があるため、あらかじめ理解しておくことが大切です。まず「工賃」とは、一般的には物を製作・加工した際に、その作業に対する対価として支払われる手間賃を指します。福祉分野においては、就労継続支援A型事業所やB型事業所で行う作業に対して支払われる賃金のことを工賃と呼ぶのが一般的です。これらの事業所では、実際に働いた分に応じて一定の収入を得ることができます。
一方、就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目標とし、そのために必要な知識やスキル、生活リズム、職業習慣を身につけるための訓練やサポートを受ける場です。そのため、原則として作業に対する賃金や工賃は支払われません。
就労移行支援は「働くことそのもの」よりも、「働くための準備」を重視したサービスであり、訓練期間中は就職に向けた力を養うことが主な目的となっています。ただし、すべての就労移行支援事業所で一切の工賃が支払われないというわけではありません。
事業所によっては、実際に収入を得る経験を通して、働くことの達成感や充実感を感じてもらうことや、お金の管理方法を学ぶことを目的として、例外的に工賃を支給している場合もあります。これはあくまで訓練の一環として行われるものであり、安定した収入を得ることを目的としたものではありません。
就労移行支援制度と就労継続支援の違い
就労移行支援制度と就労継続支援は、いずれも「障害者総合支援法」に基づく就労系の障害福祉サービスですが、目的や対象者、支援内容には明確な違いがあります。就労移行支援は、障がいのある方が一般企業などで働くことを目指し、そのために必要な知識や能力を身につけるための訓練やサポートを行うサービスです。就職に向けた準備期間として位置づけられており、一定期間の訓練を経て一般就労へ移行することを目的としています。一方、就労継続支援は、障がいや難病などの理由により、すぐに一般企業で働くことが難しい方を対象としたサービスです。
就労継続支援事業所では、就労の機会や生産活動の場を提供するとともに、働く力を維持・向上させるための支援や訓練が行われます。就労継続支援には、支援内容や雇用形態の違いから、A型とB型の2種類があります。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、事業所と利用者が雇用契約を結ぶ「雇用型」の支援で、原則として最低賃金以上の給料が支払われる点が大きな特徴です。就労移行支援を利用したものの就職に至らなかった方や、特別支援学校卒業後に就職が難しかった方、過去に就労経験があるものの現在は離職している方などが対象とされています。就労継続支援B型
これに対して、就労継続支援B型は「非雇用型」と呼ばれ、事業所と雇用契約を結ばずに作業や生産活動を行い、その成果に応じて工賃が支払われます。最低賃金の適用はなく、工賃は比較的低い水準となることが一般的です。年齢や体力の面で一般就労が難しい方や、障害基礎年金1級の受給者などが主な対象で、将来的にA型や就労移行支援を目指すステップとして利用されることもあります。