就労移行支援は、障害のある方が安心して就職を目指せるよう、必要な知識やスキルの習得から就職活動の準備、就職後の職場定着までを幅広くサポートします。しかし、やはり気になるのは、就労移行支援の利用後の就職先でしょう。本記事では、就労移行支援の利用で働ける業種・職種を紹介します。
就労移行支援利用後の就職先
就労移行支援を利用した後の就職先については、国の調査データから一定の傾向が見られます。
厚生労働省の資料によると、就労移行支援のサービスを修了した方が一般就労へ移行した割合は年々増加しており、令和4年には57.2%に達しています。このことから、就労移行支援は就職につながりやすい支援制度であるといえるでしょう。
業種ごとの傾向
業種別に見ると、障害の種別によって就職先の傾向には違いがあります。身体障害者の場合は製造業、卸売業・小売業、サービス業が多く、知的障害者では卸売業・小売業の割合がとくに高いです。精神障害者や発達障害者についても、卸売業・小売業やサービス業、製造業が主な就職先となっており、これらの業種が障害のある方の雇用を幅広く受け入れていることがうかがえます。
職種ごとの傾向
また、職業別の傾向を見ると、事務的職業はすべての障害種別で上位を占めており、とくに身体障害者や精神障害者ではもっとも多い職種となっています。
知的障害者や発達障害者では、運搬・清掃・包装などの作業系の職種やサービスの職業の割合も高く、それぞれの特性に応じた働き方が選ばれていることが分かります。
よい就職先を見つけるためのポイント
就労移行支援を活用してよい就職先を見つけるためには、いくつかの重要なポイントを意識することが大切です。
本人にあった事業所を選ぶ
まず、本人に合った就労移行支援事業所を選ぶことが欠かせません。全国には3,300か所以上の事業所があり、対象とする障害の種別や提供されるプログラム、支援体制はそれぞれ異なります。そのため、資料や情報だけで判断するのではなく、
実際に複数の事業所を見学・体験し、雰囲気や支援員の対応、本人が無理なく通えそうかどうかを確認することが重要です。
希望業界・職種について考える
次に、希望する業界や職種について考えることもポイントです。就労移行支援事業所のなかには、IT分野や会計業務など、特定の職種に特化したプログラムを提供しているところもあります。ある程度希望が決まっている場合は、必要なスキルや知識を身につけられる事業所を選ぶと、就職につながりやすいです。一方で、最初から選択肢を狭め過ぎると就職の可能性が低くなることもあるため、支援員と相談しながら本人の適性や向いている仕事を一緒に探していく姿勢も大切です。
事業所の就職実績も要チェック
また、就職実績の多さも事業所選びの重要な判断材料です。厚生労働省の資料では、一般就労への移行率が高い事業所がある一方で、実績がほとんどない事業所も存在することが示されています。就職実績が豊富な事業所は、実践的なカリキュラムや求人紹介、就職後の職場定着までを見据えた支援が充実している傾向があります。
ただし、実績だけで判断せず、本人が学びたい内容や支援の質も含めて総合的に見極めることが重要です。
通院・服薬を継続する
さらに、通院や服薬が必要な方は、主治医の指示を守り、継続することが欠かせません。体調が安定してこそ、就職活動や就労を無理なく続けられます。就労移行支援を上手に活用しながら、健康管理と就職準備を両立させていくことが、長く働き続けるための大切なポイントといえるでしょう。
就労移行支援を活用して就職するメリット
就労移行支援を利用して就職先を見つけることには、さまざまなメリットがあります。
生活リズムの安定
まず、生活のリズムや体調が安定しやすくなる点が挙げられます。決まった時間に事業所へ通所することで、これまで生活リズムが乱れがちだった方も、徐々に規則正しい生活を送れるようになり、体調の安定につながります。
また、継続して通所できたという事実は、就労意欲や継続力の証として、企業からの評価につながることも多いです。
本人の強み・弱みを把握できる
次に、本人自身の強みや弱みを把握できるのも大きなメリットです。就労移行支援では、さまざまな訓練や作業を通じて、本人が得意なことや苦手なことを客観的に知る機会が得られます。これにより自己理解が深まり、就職活動においても本人に合った仕事や働き方を選びやすくなるでしょう。強みをどのように仕事に活かせるかを考えることは、採用面接でも重要なポイントとなります。
コミュニケーション能力・協調性の向上
さらに、コミュニケーション能力や協調性の向上も期待できます。
就労移行支援では、数か月から最長2年程度にわたり、支援員やほかの利用者とかかわりながらプログラムを進めていきます。その過程で、報告・連絡・相談の練習や相手を意識したやり取りを学べます。これにより、職場で必要とされるコミュニケーション力が自然と身についていきます。
職場定着のサポートが受けられる
就職後も職場定着のサポートが受けられる点も、大きな安心材料です。就職後に生じやすい悩みや不安について、利用者の状況をよく理解している事業所のスタッフに相談できるため、問題を一人で抱え込まずに働き続けられます。
まとめ
就労移行支援は、障害のある方が本人らしく働くための力を段階的に身につけ、就職から職場定着までを一貫して支える心強い制度です。実際に、国のデータでも一般就労へ移行する方の割合は年々増加しており、多くの方が製造業、卸売・小売業、サービス業、事務職など、幅広い業種・職種で活躍しています。本人に合った事業所を選び、支援員と相談しながら適性や希望を整理するなら、無理のない就職が目指せる点も大きな魅力です。また、通所を通じて生活リズムが整い、自己理解やコミュニケーション力が高まることは、就職活動だけでなく、その後の安定した就労にもつながります。就労移行支援を上手に活用すると、本人の強みを活かし、長く安心して働ける未来への一歩を踏み出すことができるでしょう。