本記事では、統合失調症により従来と同じ働き方が難しくなった方に向けて、無理なく働くための考え方を紹介します。症状や特性に配慮した仕事選びのポイントや、就労時に生じやすい困りごとを整理し、あわせて就職に役立つ支援制度についても解説します。「もう一度働きたい」と考えている人の助けになれば幸いです。
統合失調症の人が働く上でよくある課題
統合失調症のある方が仕事をする際には、いくつか共通した困りごとを感じやすいとされています。代表的なものとして、以下の4点が挙げられます。集中力・判断力の低下
まず、統合失調症では認知機能障害の影響で集中力や判断力が低下することがあり、発症前と同じ業務でも大きな負担を感じやすくなります。その結果、疲れやすく、体調を崩しやすい状態に陥ることがあります。また、陰性症状によってやる気や意欲が低下すると、通勤や職場にいるだけでも強い疲労を感じることも少なくありません。
幻聴・幻覚
次に、陽性症状として現れる幻聴や幻覚も大きな課題です。実際には存在しないと理解していても「悪口を言われている」「常に見られている」と感じることがあり、強いストレスを伴います。このような状態では仕事に集中することが難しく、業務に支障が出てしまうケースも少なくありません。
仕事に対する意欲の減退
さらに、陰性症状が強い場合、仕事に対する意欲や気力が湧かず、作業が思うように進まないことがあります。納期を守れなかったり、周囲に迷惑をかけてしまったりすることで、精神的な負担が増すこともあります。病気を職場に伝えていない場合には、周囲から誤解され、人事評価に影響が出るかもしれません。
自責の念・もどかしさ
記憶力や判断力の低下といった認知機能障害により、以前は問題なくこなせていた業務でミスが増えたり、時間がかかるようになったりすることもあります。こうした変化は本人にとって大きなストレスとなり、自責の念やもどかしさを感じながら働き続ける要因になることが多いといえるでしょう。統合失調症の人の仕事探しのポイント
統合失調症のある方が仕事を選んだり仕事探しをしたりする際には、心身への負担やストレスをできるだけ減らす視点が重要です。そのためには、いくつかのポイントを意識しながら進めることが大切です。主治医への相談
まず基本となるのが、就職や仕事復帰について主治医に相談することです。症状が十分に回復しないまま就職活動を始めてしまうと、環境の変化や新しい業務、人間関係への適応が大きな負担となり、症状が悪化するおそれがあります。就職活動を始めるタイミングや進め方については、自己判断ではなく医師の意見を聞きながら慎重に決めることが望ましいでしょう。
自己分析
次に、自分自身の特性を理解するための自己分析も欠かせません。どのような場面でストレスを感じやすいのか、どのような働き方が向いているのかを把握することで、ミスマッチを防ぎやすくなります。自己分析は書籍やWebサイトを活用する方法のほか、就労支援機関やキャリアの専門家のサポートを受けながら進める方法もあります。
自分のペースで働ける職場を選ぶ
また、無理をせず自分のペースで働ける職場を選ぶことも重要です。統合失調症の人は疲れやすさを感じやすい特性があるため、時短勤務や時差出勤など、柔軟な働き方ができる職場は負担を軽減しやすいでしょう。職場に症状について相談することで、段階的に勤務時間を調整するなどの配慮を受けられる場合もあります。特に障害者雇用枠では、こうした合理的配慮が得られやすい傾向があります。
症状の前兆を理解する
さらに、症状の前兆を理解しておくことも大切なポイントです。仕事中に心身の変化を感じた場合、早めに医師や職場へ相談し対処することで、症状の悪化を防ぎやすくなります。症状に理解のある職場を選ぶ
自身の特性に合い、症状への理解がある職場を選ぶことは、長く働き続けるうえで欠かせません。理解のない環境ではストレスが増え、症状悪化につながる可能性があります。統合失調症の人が仕事を続けるためのコツ
統合失調症のある方が仕事を長く続けるためには、いくつかの基本的なコツと注意点を意識することが大切です。なかでも重要なのが、通院や服薬を自己判断で中断しないことです。統合失調症は薬物療法が治療の中心となるため、症状が落ち着いていると感じた場合や、副作用によって仕事に支障が出ている場合でも、勝手に服薬をやめると症状が悪化するおそれがあります。薬の変更や量の調整は、必ず主治医に相談したうえで行う必要があります。
また、治療や服薬だけでなく、日常生活や仕事上の悩みについては、定期的にカウンセリングを受けることも有効です。自覚がなくてもストレスが蓄積していることがあり、専門家と話すことで症状の前兆に早く気づき、再発や悪化を防ぎやすくなります。
さらに、日頃から生活習慣を整え、安定した生活リズムを保つことも、体調管理や仕事への影響を抑えるうえで重要なポイントといえるでしょう。