「このままではいけない」「何とか就職しないと」と焦ってしまう未就労の障がい者の方は決して少なくありません。しかし、焦りのあまり自身の課題を見つめなおすことなく就職活動をしても、なかなか採用されなかったり、長く仕事を続けられない結果になることが多いです。そこで今回は、障がい者が就活を成功させるためのポイントを紹介します。
企業が障がい者の雇用を難しいと考える理由とは
企業が障害者雇用を難しいと感じる背景には、主に4つの理由があると整理できます。業種・業界が障がい者の就労に適さないと考えている
第一に、業種や職種そのものが障害のある方の就業に適さないと考えられている点です。日本では障害者雇用率制度により、民間企業には従業員数の2.3%以上の障害者雇用が義務付けられています。しかし、情報通信業や不動産業、学術研究、教育、金融業などでは法定雇用率を達成している企業の割合が低く、業務内容や事業特性上、就業が難しいと認識されがちです。かつては除外率制度によって雇用義務が軽減されていましたが、ノーマライゼーションの考え方に基づき現在は廃止され、企業側の対応がより求められています。
現場の理解不足・環境整備
第二に、現場の理解不足や環境整備の遅れが挙げられます。障害者が安定して働くためには、周囲の理解と協力が欠かせません。しかし、現場では業務負担の増加への懸念などから、障害者雇用を前向きに受け止められないケースも見られます。また、バリアフリー化が進んでいない建物や設備では、障害のある方が安心して働くことが難しく、こうした物理的な制約が雇用の壁となることもあります。
障がい者に任せられる仕事が見当たらない
第三に、障害のある方に任せられる具体的な仕事が見当たらないという課題です。どの業務を切り出せばよいのか分からず、雇用に踏み切れない企業も少なくありません。新たに業務を創出する必要が生じたり、業務フローやマニュアルを再構築したりといった負担が想定されるため、企業側が慎重になる傾向があります。
短期間の離職の懸念
第四に、短期間で離職される可能性への不安です。調査によると、就職後1年以内に離職する割合は決して低くなく、企業が定着面で懸念を抱くのも理解できます。ただし、離職の原因は本人だけでなく、業務内容のミスマッチや環境整備の不足など、企業側で改善可能な要因も多く含まれています。
障がい者が就職できない原因とは
障害のある方が就職に結びつきにくい背景には、本人側にいくつかの共通した課題があります。主に挙げられるのは「基礎スキルの不足」「自身の障害への理解不足」「日常生活の管理が十分でないこと」の3点です。基礎スキルの不足
まず、基礎スキルの不足は大きな要因の一つです。多くの職場では、専門的な能力以前に、最低限のパソコンスキルやコミュニケーションスキルが求められます。パソコンスキルについては、キーボード入力やマウス操作、文書作成ソフト、メールやチャットといった業務で日常的に使われるツールを扱えることが前提となります。
また、コミュニケーションスキルは、業務に必要な情報を正しく受け取り、適切に伝えるために欠かせません。これが十分でないと、業務が円滑に進まないだけでなく、本人にとっても大きなストレスとなり、職場への定着を妨げる要因になり得ます。
自身の障害への理解不足
次に、自分の障害に対する理解が不十分であることも、就職を難しくする要因とされています。障害の特性によっては、特定の作業に時間がかかる、あるいは強い負担を感じる場合があります。こうした点を把握しないまま就職すると、業務内容とのミスマッチが生じやすく、企業側にとっても本人にとっても大きなロスです。思うように仕事ができない状況が続けば、職場への不満が高まり、結果として早期離職につながる可能性もあります。
そのため、自身の得意・不得意を理解し、必要に応じて上司や同僚に伝えることが重要です。実際に働き始めてから気づくことも多いため、就職後も継続的に自己理解を深めていく姿勢が求められます。
日常生活の管理が十分でないこと
さらに、日常生活の管理が十分でないことも見逃せません。就職するためには、規則正しい生活を送り、決まった時間に出勤できることが前提となります。生活リズムが安定していないと、遅刻や欠勤が増え、面接時や就職後の評価に悪影響を及ぼします。また、食事や睡眠、入浴といった基本的な健康管理ができていない場合、体調不良を繰り返しやすくなり、継続的に働くことが難しくなりやすいです。
障がい者が就労を成功させるためのポイント
障害のある方が就職活動を成功させるためには、闇雲に求人を探すのではなく、まず「自分がどの程度働く準備が整っているか」を客観的に確認することが重要です。その確認を踏まえたうえで、適切な就職支援サービスや福祉サービスを活用することで、無理のない形で就労への道を進めていくことができます。たとえ現時点で一般企業で働くことが難しい場合であっても、段階的に力を身につける選択肢が用意されている点は、大きな特徴といえるでしょう。
「働く準備性」の確認
まず重視すべきは「働く準備性」の確認です。その指標として紹介されているのが「就労準備性ピラミッド」で、これは就労に必要な要素を優先度の高い順に整理した考え方です。具体的には、①健康管理、②日常生活管理、③対人スキル、④基本的労働習慣、⑤職業適性の5項目で構成されています。これらは、安定して働き続けるための土台となる要素であり、どれか一つでも大きく欠けていると、就職後に困難が生じやすいです。
チェックリストを通じて一定水準を満たしている場合、就職に向けた準備がかなり整っていると判断できます。
就労継続支援も選択肢の1つ
一方で、一般企業で働くことが現時点では難しい場合には、就労継続支援という選択肢もあります。就労継続支援は、障害や難病によって雇用契約に基づく就労が困難な方に対し、働く機会や生産活動の場を提供する福祉サービスです。A型とB型の2種類があり、A型は雇用契約を結び給料が支払われる仕組み、B型は雇用契約を結ばず工賃が支払われる仕組みとなっています。こうした支援を通じて知識や能力を高めることで、将来的に一般企業への就職を目指すことも可能です。
就労移行支援サービスの活用
働く準備が整ってきた段階では、就職支援サービスの活用が有効です。代表的なものとして、就労移行支援事業所が挙げられます。単なる就職活動のサポートにとどまらず、働くための生活習慣の定着や実践的なプログラムなど、特性に配慮したアドバイスを受けながら就職活動を進めることができ、長く働くために欠かせない力を身につけられる点が特徴です。障害者雇用に理解のある企業の求人にも出会いやすくなります。